▲こんなもん買わずに作りゃいいんだよ、作りゃ
新型コロナウイルスの跋扈で、テレワークが推奨されてから早くも一年以上が経過。
ハンコのためだけに出社するというアホな習慣が取り沙汰され、河野行政改革相が「ハンコが無いと仕事も進まないなんていう前時代の悪習は全部取っ払え!(雑な要約)」と言い切ったのは記憶に新しいですね。
河野氏の行政上・思想上の言い分とそれに対する皆様のご意見は今置いておくとして、実は河野氏が唯一廃止を求めていない「ハンコ」があるの、ご存じでしたか?
●文化的なハンコ
ハンコ、即ち印章というものは、己を示すバロメータであるだけでなく「美しさ」を主張するアイテムでもあります。
美しさって何だよ、と思った皆さんにお尋ねします。
一度は憧れませんでしたか?
▲封蝋という物に!!(画像 by 足成)
ワタクシは『レイトン教授』で知りました!(当時中三←隙自語)
「手紙が一度も開封されていない」という証拠であるだけでなく、封蝋の色や文様で己のセンスも相手に見せつけられるという美術的側面!
実用と自己アピールの両立、何という一挙両得。
これこそ河野氏が評価する文化的ハンコの一種・封蝋です。
※ちなみに河野氏は「行政手続きにいちいちハンコが必要なのがアホ臭い」と言っているだけであり、ハンコ自体を潰そうとしている訳ではないらしいので念のため。
レイトン教授は『シルクハットにL』でしたが、ワタクシもオリジナルの文化的・芸術的封蝋が(何に使う訳でも無いけど)欲しい。
封蝋にはやり方が幾つかあるのですが、その内の一つが「指輪として常に身につけ、必要な時にすぐさま押せる印章」=インタリオリング。
そういう特殊なアイテムが、遂に手に入っちゃったんですよ。
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●欲しいものは作れ
▲総額1311円
こちらが入手したインタリオリングでございます。
▲蝋を溶かして
▲垂らし
▲指輪でグッと押し広げる
▲数秒後にそっと剥がす
▲完成
いやあ~憧れがこんな安値で手に入るなんて!
意味も無く便箋を出したくなりますね!
おっ、皆さんも欲しくなりました?
なりましたよね?(同調圧力)
では手順をお伝えしましょう~!
▲①シーリングスタンプを買う
▲②指輪台を買う
▲③台にヘッドだけくっつけて完成
……ええ、ご理解頂けたかと思います。
ただただ持ち手が指輪台に変わったというだけの話。
がっかりしたって?
これを見てくれい、本物のインタリオリングってのを!
▲へぁッ!?
一回買っただけで楽天ポイントが2310P付くとかどうなってんの?
これ買う人いる? いるから売ってるんだよな……(自己完結)
こんな真偽不明のブツをネットで買おうとするのが信じられないケド。
嗚呼我が自作インタリオリングの、な~んと安上がりで手軽なことよ。
●いろいろ封印してみる
というわけで死蔵せずに使っていきたいと思います。
①手紙
言わずもがな。今回は実際に祖父母に出します。
▲市境も超えないのにエアメール封筒
レトロな封蝋が似合うのは送信頻度の少ないエアメールでしょう。
足成さんの画像もエアメール封筒でしたし。
▲中身は便箋
メールの発達により手書きの文章を送り合うことがあまり無い今、年賀状以外で送るのは本当に久しぶりです。
書くこと自体は全然苦じゃありませんし、内容を考える時間も好きです。
これを折って、入れて、一応糊付けして、
▲封蝋完成!(背景の練習の跡と共に)
一応郵便局に持ち込み、「エアメールではなく普通郵便です」と伝えることにしましょう。
これやっておかないと勘違いでエアメール料金を請求された上で届けるまでにめっちゃ時間掛かるかもしれないので……。
相手も人間なので、誤解を招くようなことはしないように。
▲ということで成田旅行のついでに郵便局へ
成田という土地柄故エアメールを持ち込む外国人も多いと見え、全く動じない素振りの職員さん。
「このままの郵送をご希望かと思われますが、折角のシール(※封蝋)が割れたり剥がれたりする虞がございます。綺麗な状態でお届けしたいということであれば、レターパックに致しましょう」
勧められるままにレターパック代をお支払いしたところ、緩衝材のプチプチまで巻いて頂きました。
お陰で無事に届いたようで、後日祖父母から反応が。
祖父「何か手紙がやけにしっかり梱包されてきたけど、どうした?」
祖母「読んだら、新しい職場に移ったんですってね、元気?」
ちょっとは封蝋に反応してよ。
生真面目一本で冗談が殆ど分からない上に、今回の封蝋のような趣味もまず解さない方々なのは分かってたんですが、ここまで華麗にスルーを決められるとは。
私「あのさ、手紙に封蝋つけたんだけど、どうだった?」
祖母「え? あぁ、綺麗な赤いシール付いてたね、あんな立体的なもの売ってるのね。で、新しい職場の人達はどうなの」
祖父「あれ封蝋って言うのか、ふーん」
どう思ったかを聞いてんだよコラ。
送る相手を選んで使いましょうね、封蝋。
送り甲斐云々ではなく自分が付けたかっただけだから別にいいっていう方々にオススメです。
②プレゼントボックス
「私からの贈り物です」とお洒落に主張してみます。
ラッピングの一環で封蝋なんてどうでしょう。
▲中身はNICEなお茶
▲あっ、既に……
素敵なリボンシールが貼られて来ました。
この上から封蝋でお邪魔するのはちょっとなあ……。
▲でもやりたいから裏に……
ヌウぅぅん……!?(歯軋り)
表にも裏にも素敵シールがありやがるッ。
クソォ、私は封蝋をどうしても施したいのに……ッ!
▲一体何処に押せば……
▲ッアァーーーーイ!!
よし(確信)
丁度母の日だったので、母に渡してみます。
母「あ、またこんなもの付けて。剥がせるの? コレ」
私「いや、砕ける」
母「あらー残念。ま、だからこそ『誰かが開けた』って分かるんだもんね。綺麗だし、外国感あって好きだけど、身内へのプレゼント程度でつけたら勿体無いよ」
母は外国の文化を知っている人間であるだけに封蝋も理解していましたが、包み紙を剥がしながら、こういうのが好きな友達同士でやる方が余程盛り上がるでしょうにと元も子もないことを言ってました。
それに自分がやりたいからとはいえ、相手がその扱いを分かっていないと開封するだけで蝋がバラバラと落ちるので、掃除の面倒臭さも押しつけることになってしまうんですよね。
即ちこれ教養の一種、自分も贈る先も同レベルにいてこそ通じ合うものだと、後に母に言われました。
母「Fooo、ジャスミンティーね!」
中身については大変喜んで頂けました。
③バッヂ
封印ではありませんが、お洒落アイテムも作ります。
ちょいトラッドなコです。
▲封蝋を作ってリボンに接着
▲マグネットにくっつける
マグネットなので服に穴が開きません。
余程の衝撃を加えない限り落ちない強力な磁石です。
▲スマホや方位磁針と一緒に使えないけど……
封蝋リボンの作り方はこちら↓をまるまる参照させて頂きました。
本記事の封蝋のやり方及び封蝋自体の知識も、全てこの方の記事を見て学んだものです。
ありがとうございます(勝手なお礼)
封蝋やりたいけど自分でやるのはかったるいから既製品が欲しいという他力本願な貴方向けに、封蝋シールも販売している様子。
お手軽に楽しみたい方は是非。
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【結論】
高級品は自作すれば良い。
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【おまけ:総括短歌】
洒脱なる「己」の証明 現在は破損するので持ち込み必須
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【Staff】
企画・構成 清水舞鈴
撮影 清水舞鈴
編集 清水舞鈴
制作 清水舞鈴
監督 清水舞鈴
【Special Thanks】
オーダースタンプとラッピングアイテムのお店 Jamberry
国内なのにエアメールを出されても嫌な顔一つしなかった郵便局員殿
しっかり間違えずに届けてくれた配達員殿
いきなりエアメールを出されても動じなかった祖父母
唐突なプレゼントに動じず受け取った母
にんじん氏(↑の運営者)
スペシャルサンクスまできっちりと読む、画面の前の貴方
●余談:オリジナルインタリオリングはできないか?
ところで、「印面もオリジナルにしたい」と考える諸兄もいらっしゃるかと思います。
私も当初そう思い、実は作っていました。
▲絵を用意して
▲フルオーダーでハンコを作って貰い
▲やはり指輪台につけていた
で、撮影前にテストで一個打ってみたら、
▲このザマ
話にならなかった。
・まず剥がせない
・剥がすと印面にワックスがへばりつく
・そして取れない
・剥がす勢いで印面がもげる
印面自体は正確に作って頂いただけに勿体ないことをした……。
似たようなものだと「消しゴムハンコ 封蝋」で調べるとめちゃめちゃ出てきますが、全てオイルや水をつけてから押せとの記載。
そこでやってみましたが、やはり綺麗には押せないばかりかワックスがくっついて消しゴムが裂けるという有様で、本当に押してから記事書いてるんか? と穿って見てしまうレベル。
※ワックスの温度やサイズによって命運が分かれるので、多分それが原因
お湯で蝋を緩くしてから、ベンゼンで印面の掃除をしています。
綺麗に取れたら、封蝋用ではなく普通のハンコ指輪として使おうっと。
▲オーダーメイドスタンプもあるが
▲やはり高いのだった
The END.