▲これがもう分からない
最近、中学生時代の同級生に会って近況を報告し合ったのですが、
「えー!? 公務員試験受かってたの? あんなに勉強苦手だったのに?」
と言われました。
……ワタクシ、努力が大嫌い+プライドだけやたら高い=苦手であることを認めることになるので勉強しないタイプ。
一言で言うと高飛車馬鹿・屑の極みで、「分かるように説明しない奴らが悪い」「私はいつか分かるようになるんだから、今やる必要性を感じない」等と嘯いていました。
そんな勉強大嫌いなワタクシがつまずいた分からないPointを垂れ流します。
先生! こういう馬鹿がいるんです。はっきり言って下さい!
●英語:「It」と「過去分詞」
英語。
今は小学生からやるのでしょうか?
いやもう幼稚園からだ、もっと前のベビーちゃんからやれ、やらなきゃダメになります等と、英語教育そのものが過熱している印象。
でもね、今の学校での教え方を変えない内は、はっきり言って水準は上がらないと思います。
では手始めにこちら。
It is a pen.
I am a student.
He plays tennis.
これ以降もいろいろな文章は出てきますが、しかし構成は常に「短くて」「be動詞か動詞はどちらか一個しか入っていなくて」「何かしら主語がある」というもの。
それでホイホイ進めてきて、生徒が条件反射的に書けるようになってきた辺りでいきなりぶちかますんですわ。
It is rainy today.
Wine is sold at that store.
は?
前者を「それは雨」と訳すと失点します。
散々それまで「Itはそれという意味です。『It is a pen.』は『それはペンです』と訳します」とか言っときながら、急にここで掌返してくるんですよ。
で「Itは訳さないで下さい」とか放ってくる。
じゃあ今までのはどう訳すのよ?
先生が「It=それ」って言うたんよ?
後者に至ってはまず何処から手をつけていいか分からない。
何でbe動詞と動詞が並んでんの?
しかもこの二つが並ぶと「~される」という意味になるらしい。
普通に「その店はワインを売っている」って言ってくれ。
大人になってから考えると「当たり前じゃん。今までのは基本形であって、それが条件反射的にできるようになったから次の段階に進むんでしょうが」って話なのですが、「条件反射的にできる=身についた」とは限らないのです。
実際身についていないアホがここにいますから。
で、当時の私のアホさを端的に示す台詞がこちら。
誰もそんなこと言ってないだろって?
事実今までの文章に動詞は一つしかなかったじゃん。
いいですか皆さん。
バカは「言われてないこと=世界に存在しないこと」だと思ってます。
動詞は変身して動詞ではなくなったり複数入ったりすることもあるんだぜとかItは取り敢えず置いてある飾りみたいなもんとかハッキリ言われないと分からないのです。
因みにこの症状がいつまで続いたかというと、中学三年生の秋です。
受験シーズン後半。
よくまあそこそこの高校に引っかかれたと思います、ホント。
●古文:主語の省略
小見出し見ただけで「うわぁ~」となった方も多いのでは?
そんな「うわぁ~」を更に増幅させましょう。
竹 取 物 語
いまは昔、竹取の翁といふもの有けり。野山にまじりて竹を取りつゝ、よろづの事に使ひけり。名をば、さかきの造となむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人いとうつくしうてゐたり。翁いふやう、「我あさごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給べき人なめり」とて、手にうち入れて家へ持ちて来ぬ。妻の女にあづけて養はす。うつくしき事かぎりなし。いとをさなければ籠に入れて養ふ。
はい、誰が何した?
まだ竹取物語くらいなら有名処なので、何となく分かるという人も多いと思います。
ではこちらは如何ですか?
源氏物語・宇治十帖より『総角』
あまた年耳馴れたまひにし川風も、この秋はいとはしたなくもの悲しくて、 御果ての事いそがせたまふ。おほかたのあるべかしきことどもは、中納言殿、阿闍梨などぞ仕うまつりたまひける。ここには法服の事、経の飾り、こまかなる御扱ひを、 人の聞こゆるに従ひて営みたまふも、いとものはかなくあはれに、「かかるよその御後見なからましかば」と見えたり。
まず何人いるんだ、ここに。
これは現代文がしっかりできて、かつ「古文=大昔の日本語≒外国語」と頭を切り換えられるかどうかに掛かっています。
現代文も、いちいち主語を書きませんよね。
例えば母・主人公(子供・一人称は私)がリビングにいるという状況で、「母が私に言った。『○○、リンゴを食べる?』」とは書きません。
「母の声がする。『リンゴ食べる?』」くらいでしょう。
そして「外国語である」と開き直ることで文法を使って読み解くという発想に至れれば、実は助詞だけ見ていれば主語が分かるのです。
……っていう話を最初にして欲しかったぜ、古文の先生よお!
「古文とは現代文+英語の考え方です」って一言添えるだけじゃんかよおおお!
(※助詞を見ていれば主語が分かる云々は、いろんな参考書や有志のWebサイトでハイパー分かり易い解説が載っているので、それを参照して欲しい!)
さて、その上で竹取物語と総角の全てに主語を補って、この項を締めさせて頂きます。
竹取物語(クリックで展開)
源氏物語・宇治十帖『総角』(クリックで展開)
●数学:解法全般
皆様、算数はお好きですか?
四則演算だけだったあの頃に戻りたいですねえ。
数学になった瞬間、それまで算数ができていた子はボコボコにされます。
集合? 確率? 動く点P?
ワタクシ、算数はできたけど数学は嫌いでございます。
そこで世の中の数学教師は是非最初にこうぶちかまして頂きたい。
全員0スタートになると明言して頂きたい。
即ち算数と数学は全くの別物で、小学校一年に戻ったような真っ新の気分で取り組めと。
そして新の状態なので、授業で例題だけやっていきなり応用に進めるわけが無い。
公式を使えばいいと言われても、何処でどう使えば良いか分からないんですよ。
テンプレートをいきなり渡されてもさあ……
で、解けずに解説へ入ってしまうわけですが、何言われているか全く入ってこない。
そのまま何となくで高校を受験し、その後は数学を使わない私大文系学部を受験したため数学とは以来疎遠でございます。
さて、幾星霜が経過。
公務員試験を受けるに当たって、予備校でこんなことを言われました。
天 啓
今まで「授業でやったことしか宿題やテストに出ないんだから、分かるまで答え見るな」って言われてたのに!
特に「数学なんか公式使うだけだから答え見るな」ってずーっと!
将来、自分に子供が生まれたらもう最初から言ってやろうと思います。
「分からなかったら答え見ろ。テストの時に覚えていればOK」と。
●化学:mol
多分もっと他に分からないものがあったはずですが、「理科で意味不なもの……」と考えた時にフォッと出てきました。
モル(mol)。
99%の人類が金輪際使わない単位。
デシリットル並に馴染みが無い。
そもそも質量も密度も違う事物を、モルという謎単位で表そうという試みがもう理解できない。
わざわざ共通の単位作る程のことですか?
でもやる。受験に必要だからと言って。
ところがある時、高校受験の際通っていた塾の講師が、こんなことを言い放ちました。
じゃあ誰向けなんだよマジで。
これを塾で聞いたのがポイント高いです。
是非学校におかれましては、「これからやる『mol』は入試にしか出ない、人生において100%無駄骨になる内容ですが、逆に言えば入試をクリアするまでの辛抱です」と声高に宣言して頂きたい。
そして文部科学省の皆様、可及的速やかに学習指導要領から『mol』を削除願います。
●歴史:年月日や年号の暗記
日大に一応進学して一応卒業した身としてはっきり言わせて頂きます。
年月日・年号の暗記、あまりにも下らないから今すぐやめさせてくれ。
その数字列を覚えていて何になるんですか?
歴史とは即ちイベントの連続、その結果がたまたまその年に起きただけでしょうが。
本当に覚えるべきは流れですよね?
鎌倉幕府、いつ成立したんですか。
「1192年」と答えた貴方、古い。2023年現在の教科書では「1185年」となっている。語呂合わせも「いい国」から「いい箱」になった。
だ か ら 何 じ ゃ い
どうして1192年と言われていたんですか。
どうして1185年に変わったんですか。
そもそも「はい今日から鎌倉幕府ね!」と源頼朝が明言したわけでもないから、いつを以て幕府認定するんですか。
研究や新説の提唱で幾らでも動く可能性のある年月日や年号を、どうしてテストに出すんですか?
違うだろ歴史は。そんなブツ切りじゃない!
ブクマしといて暇つぶしに斜め読みしとく程度のブログとはレベルが違うでしょう?
語呂を考えたり一族郎党の名前を覚えさせたりする暇があるなら、その時間を使ってメインキャラクターの動きとやりたかったことを伝えようよ。
歴史は勝者の記録の積み重ねだから誤解も風説も飛び交う一番センシティブな科目だって言おうよ。
その中で得点源になる有力な説を教えるから、受験やら何やらが終わったら歴史修正主義者に気をつけてよくよく世の流れを見ておきなさいって人生の先輩として教授しなよ。
だから私はずっと年号の暗記が苦手でしたし、今後も覚える気はありません。
歴史を横で見る(同じ年代に起きたことを並べる)には必要かもしれませんが、それも大体で結構だと思います。
そういう意味では、流れをきっちり分かった上でおまけ程度に年号や年月日を言える「東大生チーム」みたいな人達は凄いです。
蛇足ですが、世界史の「何処何処で何々をしていた時、地球の真裏では何が起きていましたか?」みたいなのも本当に下らない!
貿易等の関わりがあって多少の影響が出てたとかでも無い限り、並べる意味がマジで無い。
全世界を見通せる神にでもなったつもりなんでしょうか。是非世界史の先生方に聞いてみたいものです。
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【結論】
教育は入り口が本当に大事。
最初にぶっちゃけてくれ。
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【おまけ:総括短歌】
教科書を辿るだけでなく「何故やるか」。「入試のため」でもいいから言って
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【Staff】
企画・構成 清水舞鈴
撮影 清水舞鈴
編集 清水舞鈴
制作 清水舞鈴
監督 清水舞鈴
【Special Thanks】
国研(高校受験のため通っていた塾)
東研学院予備校(大学受験のため通っていた予備校)
資格の学校TAC(筆公務員試験に向け通っていた予備校)
私の高慢をよく知る中学時代の友人
学習指導要領と時数の狭間で苦悩しつつ授業を組み立てる教員の皆様
独自の指導方法で何度も私を覚醒させた講師陣
スペシャルサンクスまできっちりと読む、画面の前の貴方
▲最近(※三年経つが)キタ―(゚∀゚)― !!と思った教科書の変更点。
優性・劣性は字の印象が強すぎて本当に覚えにくかったので、
よくぞやってくれたと喝采を送りました。
The END.