▲買うだけなら通販でもいいんですよ
皆様、自分の名前は言えますか?
言える方が大半だと思います(言えない人は逃亡してたり健忘だったりの事情があると思うので言わなくていいです)。
ではその名前は自分から名乗りだしたものでしょうか?
違いますよね、誰かが貴方に付けてくれたんですよね。
その名前、それしか候補が無かったという方は、どれくらいいますか?
もしかしたら別の名前になってたかもしれない方がいるのでは?
そう、私のように……。
●「親に名前のこと聞いたことがあるか」って話
小学生の時、授業で「自分の名前の由来を調べよう!」という調べ学習をやったことのある方はいらっしゃいますか?
私はそこで自分の名前の由来を知ったのですが、まさか「不倫」をテーマにした和歌から意味も分からず引っ張ってきているとは思ってませんでしたよ、ええ。
まあ兄の名と対になるようにってことで探した結果だそうですが、これ以上言うとガチで本名と素性がバレるので割愛。
もはや私を知る人がこのブログ読んだらすぐ面が割れるレベルですよ。
で、父親を問い詰めている最中に、母が横からこう言ってきました。
「候補を二つ見せてきて、どっちがいいって聞かれたの。○○(本名)と『美鈴』」
……なにゆえの『美鈴』?
「亡くなった親族で、お父さんが慕ってた人の名前に『鈴』が入ってたのね。それと、その人の出身地が長野県で」
長野?
「みすゞ飴って知らない? 長野の定番のお土産。私は苦手だけど」
はあ、みすゞ飴。存じ上げませんねぇ。
――というわけで、当時はそれで終わったんです。
が、最近になってポロポロ思い出すのです。
もしかしたら自分は、清水美鈴になっていたかもしれない。
そしたら調べ学習で「長野出身の親族から一文字もらい、長野の飴と融合を果たしました」とバキバキの内輪情報を出すことになってたのか。
高三まで習っていた書道で、名前を毛筆で美鈴と書くことになってたかも。
地味にバランスの取り辛い字だな……。
職業柄、いろんな人の名前を申請書で見るのですが、そこでも考えるようになりました。
出生、死亡、転入、転出――。
貴方達は普通に今名前を書いているが、それとは違う名になったかもしれないんだな……。
このブログで使っている名前『清水舞鈴』は、その美鈴からフィーチャーしたものです。
考えれば考える程、『美鈴』が気になります。
気になりすぎて、現地まで行ってきちゃったというのが、今回の話です。
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●着いた
▲二時間半ぽっちで来られた
鉄道のみで二時間半しか掛からないとは、随分と近所ですね。
……えっ、皆様にとっては遠いですか?
▲自分、片道四時間掛けたことあるんで
ここに私は、2019年7月に役所の職員として参加しました。
しかしこれ、出張じゃないですからね。
現地のお祭りに自分の希望で参加した扱い故に、有休消費です。
募集という形を取っていたからそういうことなんですけど、人が集まらないから行ってくれないかと依頼半分でもあるんですよ。
直前まで「騙された」と大騒ぎして、随分上司や依頼元の課に気を遣わせてしまいました。
(※後で現地のお土産や図書券をあてがわれました。許せってことだな)
まあ、その分本来の業務を二日だけパージしていいってことですから、ある種Win-Winなんですけどね。
補助金も一部ですけど出されましたし、何だかんだ言って貴重な体験をさせて頂いた上、祭りの屋台も狂う程楽しんだので。
さてそんな有休消費を参加決定後に明かされた話は置いといて、上田市です。
最初の感想は、
「寒ッ」
行ったのは2月28日、この日の上田市の気温は最高でも7℃弱。
ホームに降り立った10時の気温は2.5℃と、より寒し。
顔がスーンとなりました。
それどういう状況だと言われても、スーンしか思いつかないんですよ。
無理矢理言葉にするなら、寒い外気にタッチしただけなのに表面の体温が消し飛ぶような感覚です。
手袋を外すと一秒で指スーン。
その後どこの施設のトイレを使っても温水が出てきて、天国はここにあったんだと思いましたが、今考えると手が冷えすぎて常温の水がお湯に感じられた可能性もあります。
とっとと宿に突撃したいところですが、宿泊施設の常としてチェックインは15時から。
今から五時間はこのクソ寒い環境にいなきゃいかんのか……。
まあしょうがない。
んなこと分かってた。
父が亡くなった親族の話をすると必ず、
「金が出来たら静岡に引っ越したいと。理由は簡単、長野は寒いから」
と落とすくらいだしな。
さっさとみすゞ飴の本拠地・飯島商店(みすゞ飴本舗)に向かいましょう。
▲着いた
▲ちっか
徒歩五分というか下手すると駅からお店が見えるっていう。
二階や裏の元・養蚕の蔵を見学できるなら四時間はすぐに使い果たせますが(残り一時間はホテルのロビーで天井の模様でも数えればよし)、
▲どう見ても
▲そんな雰囲気じゃない
明らかに社員さんが出入りしているリアル事務所だったので、一旦出て時間稼ぎ。
●折角なのでちょい観光
その場で「上田市 観光」と検索し、ヒットしたものの中で一番近いところにGO。
▲つまり上田城
▲……
▲城無くね?
正式名称が上田城跡公園なだけあって、穏やかな広場があるだけでした。
城を期待して行くよりは、今は無き姿に対し敷地内の博物館でじんわり思いを馳せる感じに見に行くのが良いでしょう。
城探訪改め公園散歩が終わった今の時刻は丁度正午。
まだ三時間あるので、お昼にします。
「上田市 ランチ」で検索。
▲千本桜さん
蕎麦が美味しい上田市、折角なのでここにしか無さそうなくるみそばを注文。
緑の文字が私、他の文字が店員さん。
――今日は寒いので、あったかいお蕎麦でお願いします!
「はい、くるみそばで温かいもの……え? くるみそばですか?」
――はい!
「実はくるみそば、温かいおつゆとは合わないんですよ……」
――そ、そうなんですか?
「でも温かいおつゆが良いですよね……う~ん、どうしよう……」
――で、では、違うものにしてみます……
「いえ、奥の者(蕎麦打ちの職人さん)に相談してみます。少しお待ち下さい」
店員さんが厨房に入って数十秒後、逞しい男性がいらっしゃいました。
「こんにちは。くるみそばのことで少し、お伝えしたいことがありまして」
曰く『くるみそば』は、そばつゆにくるみの甘いペーストを溶かし込んだ『クルミだれ』に蕎麦を浸けて食べるもの。
ペーストとタレは分けて提供され、好みで溶かす量を変えられる。
しかしこのクルミだれ、びっくりする程温かいつゆに合わない(と、少なくとも職人さんは開発段階で感じた)ので、職人さんとしてはオススメしたくないのだと。
折角来てくれたお客さんが後悔するようなものは出したくないと言うのです。
しかしくり返しますがこの日は最高でも7℃弱。
外を自分で好きに出回っといてなんですが、体が冷えてて寒いんです。
う~ん、しかし職人さんが自らやめとけと言いに来てくれたしなあ……
うむむと唸っていると、
「では、温かいつゆだけでなく、冷たいつゆも試して下さい。食べ比べるとはっきり分かります。一緒にお出しするので、是非うちがオススメしたい味を知って下さい」
ありがとおおございますうう。
何かろくに蕎麦のことも知らねぇ客がごねたようにしか見えなくて恐縮ですが、これは有り難いチャンス。
全力で感謝の意を示し、待つこと暫し。
▲来たあああああ
蕎麦は十割の田舎蕎麦、千切れやすいですがボソボソした感じは無く、香りと味が強く見た目も黒々としています。
手前の赤い蕎麦徳利に、色のイメージとは裏腹に冷たいつゆがイン。
奥の渋い方がアツアツのつゆ。
その奥にある生成りカラーの何かがくるみペースト。
お猪口もわざわざ二つついています。
ありがたや、ありがたや。
で、食べ比べた感想なんですが、冷たいつゆを一緒に出して頂き本当にありがとうございました。
冷たいつゆだと、くるみの脂肪分を冷たさで爽やかに流してくれるからか、つゆの味とくるみの甘味・こってり感が共存して妙味に仕上がっています。
しかし温かいつゆでは、もったりと舌の根元に脂肪が絡んでくるのです。
「ゲロ不味い」とか「有り得ん」とかまで行くようなレベルではないのですが、それは元々のつゆとくるみペーストが美味しいからであって、温かいつゆで食べ続けていると辛くなってきます。
平たく言うと、飽きてくる。
冷たいつゆは最後まで美味しく食べられます。
冷たいつゆにもどうせ熱い蕎麦湯を注ぐんだから同じじゃないの? と思いましたが、いざやってみると蕎麦の風味を追加しつつ、つゆ全体を薄めてくれるので気にならないんですね。
温かいつゆ+蕎麦湯は、やっと救いようのある味になりました。
こんなに違うか……。
しっかりと事前に考えを話して頂いた上で、提供したくなかった味を出してもらえたのは良い経験でした。
いやはや、プロです。
お会計の際にお礼とご迷惑をおかけした旨の謝罪をしておきました。
ありがとうございました。
……時計を見たら、13時半になっていました。
みすゞ飴本舗でお買い物をしたら丁度良いくらいでしょう。
ウホウホしながらカムバック。
そして遂にご対面!
▲みすゞ飴の皆様
うおぉ、かなりの種類があるぞこれぇ。
公式サイトにもある通り一概にみすゞ飴と言っても、スタンダード・厚みを少し減らしたもの・若い子受けしそうな「生」の三種類が存在。
そしてそれぞれ味やグラム数が違うものが用意されており、選り取り見取り。
折角来たので珍しいものを、と棚を暫し凝視。
▲で、選んだのがこれ
ちなみにみすゞ飴本舗自体も、観光名所の一つなのだそう。
建物自体が国登録有形文化財であり、その内装も大正浪漫仕様の豪奢なもの。
▲ちゃんと外にその表示があるのよ
▲だからお買い上げても暫くは
▲大正浪漫を意識したという
▲内装を撮影しまくっていた
▲ぬおお大きなのっぽの古時計!
▲た、タイプライターがある!!
▲彫刻の施されたピアノ(?)が!!!
ひょおおおう!!
こういうレトロなものって、触れないと分かっているのに「動かしたらどうなるんだろう?」って考えてワクワクしますよね。
で、そういう人間が数多いのか、案の定「触るな」と張り紙がしてありました。
私の前頭葉が思いとどまってくれて良かった。
さあ、買いたいものも買ったし、
▲ホテルにチェックインし
(早速散らかした)
▲一回風呂入って(何せ体がキンキン)
思いっきり昼寝した上で、さあ、開けましょうか。
●これがみすゞ飴だッ
▲いらっしゃいませ
みすゞ飴復刻版、460g入り。
お値段840円+税!(2020年2月現在)
▲OPEN
▲やたら味わい深い栞入り
復刻版と名の付く通り、かなり昔の箱デザイン・栞・味がフルセットになっております。
横書きでも構わず右から左に読ませる書き方になっていたり、みすゞ飴の「ゞ」が「(「す」の変体仮名)に濁点」だったりと当時の標準的文章を彷彿とさせます。
この栞は昭和三年当時に使用されていたものだそう。
「信濃原産の杏・苺・林檎」とあり、「滋養になって美味しいこと天下一品」ですって。
当初は三種類の味展開だったんですね。
当時甘味がまだカジュアルな品ではなかったことから来る「滋養」というコメントも味わい深い。
ちなみに昭和三年は、張作霖爆殺事件が起き、ラジオ体操の放送が始まった年です。
どんだけ昔やねん。日本史で習うレベルの話ですよ。
▲今や味が増えに増えて七種類
▲七種の味一覧
苺のみ、原料が入手困難になり製造不可能だった時期があったとのことで、これが復刻版の代表味。
果物・水飴・寒天しか使っていないというみすゞ飴、実食してみます。
……と、その前に皆様にお尋ねしたいのですが、みすゞ飴に抱くイメージは良いものですか、悪いものですか?
「長野の定番土産」だけならまだしも、検索すると凄まじいものが出てきます。
▲えぇ……
どうやら好き嫌いの分かれる味のようで、一通り調べた限りだと、
①飴っつってんのにゼリーでまずい
②外側に変な包み紙がついててまずい
③全然味しないor全種同じ味でまずい
総合的に一言で表すと、
「その辺のグミの方が余程安くて美味い」
ですって。
Oh......(唖然)
でも、ガチで不味いならもう滅んでると思うんですけど(名推理)
というか飴って「デンプンを糖化して作った甘い菓子全般」の意なので、間違ってないと思うんですけど(名推理←二回目)
●実食
幻の味とされてきた苺をつまんでみます。
セロファンの包装紙を取ってみると、明らかに飴の外側に透明な何かがいる。
お陰で飴本体をつまむ指がべとべとすることは無く、しかしそれ単体を剥がそうとしてもピリッと破けてしまいます。
そうこうしている内に指についた透明な何かが、じわっと柔らかくなってきました。
舐めてみると、すっと溶けていく。
なあんだ。
これ、オブラートじゃん。
剥かずに普通に食べられるアレですわ、ボンタンアメの外側と同じ。
オブラートも知らない馬鹿たれは置いとくとしても、 これが口に張り付いて何か嫌っていうのはよく分かります。
祖父母の家でボンタンアメを初めて食べた時、私も「無い方が圧倒的に美味しい」と思いましたから。
しかし個人的には、ボンタンアメよりも遙かに薄く、飴にフィットしているこのみすゞ飴のオブラートは全然気になりません。
(ボンタンアメのオブラートってカシャカシャしません?)
で、噛んでみるとニシィ……という歯触りで、水飴のダイレクトな甘味がまずやってきます。
ここで諦めてしまうと「ただの砂糖味」=味しない・全部同じ味という感想を確かに抱いてしまいそう。
塊を磨り潰すように噛み締め続けることで、じんわりと果物の香りと味わいが増してくる。
この「何の果物を使っているかが分かるまで」の時間が好き嫌いの分かれる原因でしょう。
香料等ではっきりと、もう口にした瞬間に香りがズァアアアアアと来るのが、分かり易く万人受けする美味しさとするなら、みすゞ飴は香りや味が分かるまでの時間を楽しむ余裕がある人向けなのかもしれません。
ストレス発散にポイと口に投げ入れて済ますような代物ではないです。
お菓子の中でもお茶請けというべき立ち位置なのではないでしょうか。
なるほどね、私は好きですよ。
これが私の『パラレルネーム(=並行世界の名という意味の造語。付いていたかもしれない名前)』だったのか……。
ただ仮に「美鈴」って名前で、こうやってみすゞ飴を食べに来て「嫌い」と感じたら、それはそれでネタになったのにな、と思いました。
そんなこんなで全種一個ずつ食べ進めつつ、同時進行で記事を書いています。
▲外はすっかり暗くなっていた
▲夜のみすゞ飴本舗もまた素敵
●エピローグ
▲その後私はモツ煮定食と
美味だれ焼き鳥(画面外)を食べて就寝
何気に上田市の名物をしれっと食べました。
大蒜のすり下ろしを死ぬ程ブチ込んだ醤油だれで食べる焼き鳥で、お店によって味が違います。
ここのものは大衆居酒屋であることも関係があるのか、少々辛め・しょっぱい感じの味付け。
レモンサワーが良く合います。
居酒屋は好きな癖にタバコが大嫌いなので、喫煙客が来る前に食べ終わって退散。
大蒜くっさい自分を感じつつ就寝……。
▲おはようございます
仕事は無いし目覚ましも掛けてないのに朝六時に目が覚めましたよ。
▲朝食はビュッフェスタイル
ビュッフェですが好きなものばかり取るなと教育されているので、ウィンナーソーセージが大量に目に入る中でこのPerfect breakfastっぷり。
その代わりアイスクリームはめっちゃ食べたけどね!
そして十時にチェックアウトすると、ある場所に立ち寄った上で帰路に就いたのでした。
▲ありがとう、上田市
この日はちょっとだけ温かくなって、最高が13℃ちょい。
さりげなくみすゞ飴だけじゃなくて名物・観光地をコンプした旅でした。
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【結論】
みすゞ飴は不味くない!
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【おまけ:総括短歌】
飴一つ 味わい尽くす時間すら無い人達が 減りますように
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【Staff】
企画・構成 清水舞鈴
撮影 清水舞鈴
編集 清水舞鈴
制作 清水舞鈴
監督 清水舞鈴
【Special Thanks】
株式会社飯島商店
上田城二の丸
信州食堂ゴールデン上田(夕飯を食べた場所)
スペシャルサンクスまできっちりと読む、画面の前の貴方
上田市と聞いて、別所線を思い出した貴方。
……「千曲川」「別所線」と聞いて、台風19号を思い出した貴方へ。
この記事に書いてしまうと、互いの本筋がブレてしまうため、別記事にしてあります。
なお上田市は2020年2月28日・29日に訪れており、状況もその当時のものを伝えるだけとなっております。
宜しければ次のページへ、どうぞ。
The END.