清水の舞台から縄ばしごで降りる

次回は4月末に更新です。ナンパってまだ生き残っているんですね。

『落穂拾い』が怖いからどうにかする

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▲テメェなんか怖かねぇ!!

野郎オブクラッシャアアアアアア!!(ベネット)

(西洋絵画美術館より引用)

皆様も当然ご存じかと思います、ミレーの傑作・『落穂拾い』。

 

突然ですが伺います。

 

この絵、怖くありませんか?

 


 

●ある晩、動いた

私ははっきり見ました。

この絵に描かれたおばさん達が「あーイタタ」と言うように腰を反らしたのを。

 

そしていきなり右端のおばさんが、ギャンッという字幕が付きそうな程の勢いで振り向いたのも。

 

げに懐かしき二十年前、春先のバリ島にて真夜中に。

 

振り向いたおばさんの顔は、実は見ていません。

目を合わせたら終わると思ったので、布団を光速で被ってやり過ごしました。

しかしそれ以来、この絵が薄気味悪くて仕方がない。

 

いつかこいつらが不意打ちで振り向いてきて、心臓発作を起こさせて殺しにくる気がする。

 

だから今回はいつ振り向かれてもいいように、怖くないアレンジを施して恐怖を克服しておこうというものです。

 

●怖くないアレンジ五連打!!(丸藤亮)

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▲Entry No.1:ポップな色合いに

元絵は全体的に同じくらいの明度・彩度の色で描かれていて、地味かつ陰惨な感じがします。

そこで無駄にギンギラギンなカラーリングに変えてみました。

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▲バージョン違いを並べて

アンディ・ウォーホルを気取ってみる

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▲何かお洒落だったのでTシャツにした

良いですね!

明るくて、ポップアートとして流行りそうな雰囲気になりました。

黒地のTシャツにパキッとした色が映えること映えること。

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▲モノクロ版もなかなかシャレてる

なおセピアカラー版は普通に怖かったので画面を即閉じしました。

元の色味がセピアライクだからかな……。

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▲Entry No.2:『いらすとや』にご登場頂く

名画の全要素を『いらすとや』に差し替えるという暴挙。

元の絵の怖さや不可思議な明るさ・侘しさは彼方に吹き飛び、ボランティアに勤しむほんわか家族絵と化しました。

「もう落穂拾いじゃねーじゃん、ゴミ拾いじゃん」というツッコミは野暮です。

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▲こんなクソコラでもレイヤ12枚使っている

製作最中は更にパーツが分化していたので、レイヤは最大30枚でした。

あと地味に各種大きさを弄ってバランス調整しています。

こんな雑コラの癖に。

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▲Entry No.3:もっと簡単にピクトグラム

更に単純化してみました。

緑が被って大変に見辛いので輪郭は追加しています。

もはや元が何なのかわけわかめですが、これなら可愛さすら感じて全然怖くありません。

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▲なお『ピクト緑』の数値はこちら

赤28緑140青66

あ、本記事で一番役に立つ(かもしれない)の、この数値だけですよ。

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 ▲Entry No.4:ガーリー要素を追加

これ一番時間掛かりました。無駄に。

その癖、いまいち萌えない娘を僅かに髣髴とさせる低クオリティ。

フリル、リボン、花柄、猫耳と尻尾という、一言で言えば「これはひどい」。

明らかに農業に向いていない邪魔臭い装飾。

 

この絵が仮に振り向いてきたとしても、多分「はわぁ~……疲れたにょ☆」みたいな感じでしょう。

怖いというよりめっちゃ腹が立つ

そのキャンバスブチ破ったろか、あぁん?

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▲Entry No.5:ドット絵にする

うーむ……ホラーゲームの背景に出てきそうな感じになってしまいました。

しかしこの粗いドット絵が振り向いたとしても、顔の表現が出来ずにのっぺらぼうになることは目に見えているし、故にこちらも覚悟が出来ているというもの。

そういう意味ではドット絵もなかなか、怖さを減らすのに向いていますね。

 

ちなみにこの画像、実際にドットを一から打ったわけではありません。

 

①元絵を256色ビットマップで保存

②そのビットマップをサイズ1/3にして保存

③1/3になった画像を元絵のサイズと同じになるよう単純拡大して保存

 

……というステップを踏んで作った擬似的なドット絵です。

 

いろんなゲームやグラフィックに使えますよ。

皆様も是非。

 

さあ、というわけで怖くないアレンジが五種類出揃いました。

この中で個人的に一番怖くないと感じたのは……デレレレレレレ(ドラムロール)

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▲デン!!

Entry No.3:ピクトグラム

落ち穂拾いであることを示しつつも、その圧倒的な恐怖の無さは特筆に値します。

その根底からの不安要素吹き飛ばしっぷりは、他の作品との格の違いすら感じさせる程。

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▲空港に表示されていても違和感が無い

(元画像:写真AC)

空港から出てすぐのどかな景色が広がるということを教えてくれる、心癒やされに来た旅人への親切な案内表示にも使えます。

とはいえ咄嗟に「この先、農場」と読まれてしまう可能性も無きにしも非ず。

……いや、そもそも何が描かれているか遠目には分からないな(本末転倒)。

 

恐怖払拭度合いだけで言えば『Entry No.2:いらすとや』も肩を並べてはいるのですが、言うてあれはボランティア募集のチラシに描かれた挿絵です。

あれを見せて「落ち穂拾いが元ネタ」と回答できる人はまずいないでしょう。

 

極限までにシンプルで、究極に怖くない、空前絶後の模式図。

それこそがこのピクトグラムなのです。

 

五作品も怖くない『落穂拾い』を作れたので、とってもすっきりしました。

本物を見てもこの作品群を思い出してフフンと笑える自信があります。

どんとこいや。

 

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【結論】

でもあの時動いたのは何でなん?(真実は闇の中)

 

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【おまけ:総括短歌】

貧民のために落ちてる麦の粒 地主の功徳 聖書の教え

 

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【Staff】

企画・構成   清水舞鈴

撮影      清水舞鈴

編集      清水舞鈴

制作      清水舞鈴

監督      清水舞鈴

 

【Special Thanks】

ジャン=フランソワ・ミレー氏(『落穂拾い』作者)

 

西洋絵画美術館

ギャラリーアオキ(↑の運営母体)

 

アンディ・ウォーホル

TMIX(オリジナルTシャツ作成)

オリジナルラボ株式会社

いらすとや

HUMAN PICTOGRAM 2.0

神戸新聞社(いまいち萌えない娘を爆誕させた気鋭の新聞社)

phon-ta氏(空港表示の写真撮影者)

 

スペシャルサンクスまできっちりと読む、画面の前の貴方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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▲これが問題のセピア調。

元絵の不安感そのままに色が減ったので怖い

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▲反転させてみた。余計なことをした。めちゃ恐

The END.