▲落ちてた
改札を出ようと思ったら切符が無い!
……という大人の悪夢。
皆さん結構な確率で落としていますね?
何せワタクシがコレクションしようと思った程、ボコボコ見つかるのです。
●記録の無いコレクション
コレクションと言っても、世間一般的に想起される日付だの発見場所だののメモは一切してません。
発見場所や時間帯が大体私の通勤ルート上なので、書いてもバリエーションが無いんですね。
そして大体が穴開いちゃってるし購入時からめちゃめちゃに日が経っているものもザラで、悪用という考えも浮かばない。
しかしファイリングして眺めると、「元の持ち主はどこから来たんだろう」とか「何処に行くつもりだったんだろう」とか想像が尽きないのですよ。
▲小さいがかなりの量
鉄道ファンの中に切符好きっているんですかね?
いるとしたら「切符鉄」みたいに言うんでしょうか。
そんな「切符鉄」の皆様からしたら、ワタクシなんざまともな記録もつけないしコレクションも少ないホントに木っ端な存在かと思いますが、お付き合い下さい。
①何処?
ワタクシ、自分が行ったことの無い駅名については殆ど知りません。
故に人が聞いたら鼻で笑われるレベルで「何処?」となります。
そんなシリーズです。
「ふきあげ」でいいんですかね、読み方。
グリーン車使うくらいだからさぞ遠かろうと調べてみたら、埼玉県。
埼 玉 県
近ッ!
そんな近距離でグリーン車!?
使用者は少しでも疲れたくない出張サラリーマンの方だったのか?
というかこのラインでグリーン車ってあるんだ!?(グリーン車=新幹線という発想しか無い無知者)
※後で調べるとJR高崎線だった。高崎線にグリーン車ってあるんだね(無知者再臨)
「えっちゅうじま」。東京都江東区なんですね。
調べたら分かりましたが周囲を東京海洋大学に囲まれており、しかも大多数が隣の門前仲町駅を使うとか。
故に23区で利用者数最低、好き好んでわざわざ越中島駅を使うのはほぼその在学生ってことだそうです。
そんな利用者数最低の、その中の一枚が手元にあるというのは、巡り合わせを感じます。
「こでんまちょう」。如何にも都心の、所在がよく分からない駅って感じの名前。
ていうかもう東京メトロがよく分からない。地下鉄使った試しがない。
故にこれを拾った時の第一印象は「わーオレンジ色じゃない切符初めて見たー」でした。
因みに地下鉄を使ったことが無い最大の理由は、仮に間違えた方向に乗ったor乗り過ごした上に戻りの電車が存在しない状況になった時(災害時・最終電車時)、景色を見ながら歩いて戻るというアナログかつサバイバリスティックな解決方法が取れなくなるという恐怖があるからです。
それ以前に地下鉄って景色見えないから面白くない。
②何故東京都で見つかるんだ?
①は全てその駅から都心に向かう切符なので、都内に落ちているのも道理。
しかし東京都に入ることが一切無い経路であるにも関わらず、何故か穴が開いた状態で発見されたものがこのシリーズ。
つまり無くしたと思っていたら実は持っていた上にそれを東京都内で落とした、探し物が下手なドジっ子が落とし主である可能性が大のもの。
▲From石岡to柏・JR東日本・990円
擦れて消えてしまっており殆ど読めませんが、光の反射で目視は可能です。
石岡も柏も常磐線ですから、例えば思いっきり乗り過ごして都心部の上野駅に行っちゃって、そこで落としたというなら見つかるのも道理だと最初は思ったんですよ。
しかし「土浦」のスタンプが押されているんです。
石岡から柏に行くつもりだったが、土浦で降りた。何故?
土浦はホテルが沢山あるんですが、泊まるためなら何故柏までの切符を買ったの?
▲1日乗車券・江ノ島電鉄・600円
江ノ島? しかも藤沢駅発行。遠いなあー! 何処だ!(地理知識薄弱)
折角乗降し放題だったのに、しかも600円も払っているのに、失くしたんかチミは……。
旅行だったのか、出張だったのか、藤沢駅周辺の出身で東京に出てくる前に地元周りでもしたのか。
想像は尽きませんが確実に言えるのは、「のりおりくん」という平仮名のみの気の抜けたネーミングが可愛いということです。
▲1日乗車券・福岡市交通局・620円
まさかの空港発行というレアい切符! 福岡市内の地下鉄全部乗り放題!
これが令和2年2月10日(=発行日の丁度四年後)に東京駅で見つかったのもポイントが高い。
あまりに印象が強すぎて、これだけ拾った場所と日時を覚えているっていうね。
でもよくよく考えたら乗り放題620円って、元取る程乗れるかな?
丸1日折角だからと予定に無い遠方に出かけると、ホテル一泊では取れないレベルで疲れが溜まりますよ……。
「○○放題は必ず元が取れないように作られている」とはうちの母校の経済学教授の談ですし、結果的に見ると別に百数円の選択肢だけで良かったということもザラなのに、何故人は○○放題に釣られてしまうのか。
③取っておかなくていいのか?
状態が綺麗なので、意図的に捨てた可能性が高いものです。不法投棄コラ。
領収書や案内用表紙がよく目に付きますが、これ控えじゃないの?
▲まるごと日光東武フリーパス・案内用表紙
日光を中心に温泉など要所を押さえた切符だそうです。
値段調べたら4610円(発行駅・シーズンにより差異有)と、お安いか高いかよく分かりませんでした。
有効期限は四日間ということで、まあそのくらい滞在するのであれば……いや、やっぱりこれも「○○放題」の一つですね。
旅行や遠出の際は必ず事前に「絶対に行くところ」を決め、その上で「追加で見つかった行きたい場所」があった時半径何kmまで・費用幾らまでなら許容できるかを考えましょう。
「あれも行くかも~これもやるかも~じゃあ全部行けるヤツ買っとこう~!」だと、結果的に疲れて全然行かないということになるのが関の山。
▲From水道橋to秋葉原・クレカ利用票・140円
140円を、クレカ払い。
現金を持ち歩かない主義なのか、それすら無かったのか。
前者ならともかく後者だった場合が心配です。
秋葉原に向かう人なので、流石に後者ではないと思いたいですが……。
▲From府中本町to立川・回数券表紙・1700円
回数券の表紙はかなりの頻度で捨てられています。
表紙では乗車できないからですが、そんなことに紙使うくらいなら出さなきゃいいのになあ。
府中本町駅で購入された、府中本町と立川を行き来する回数券です。
定期券でないことがミソです。
定期券を使う程連日では乗らないが、11回は乗ると。
ということは隔日の習い事か塾で、それが立川駅周辺にあるということです。
あの辺一帯はパソコン教室なりカルチャースクールなり腐る程あるので、むべなるかなですね。
●切符から広がる持ち主像
では普段どうやって私は想像しているか、実際にやってみます。
切符は尋常ならざる情報量を搭載しているので、それを調べて読み解くとある程度の予想がつくのです。
▲モデルになって頂くのはこの子
拾ったのは新宿駅だったと思います。
モーニングウェイ90号の2号車、1Cの席を取ったもの。
2018年4月26日の朝6時前の発車・ほぼ6時半着という、凄まじく早い一本。
既におかしいことが起きているのが分かりますか?
穴が、一切開いていません。
モーニングウェイ90号は小田急電鉄ロマンスカーの便名の一つ。
乗車券と特急券を買うにしても、特急券だけ買ってICカードで通過するにしても、改札には必ず特急券が通されるはずなのです。
それなのに、穴が無い。貰ったにしても記念スタンプが無い。
つまりこの切符は一度も改札を通っていません。
改札機を通せない券ではないのに。
▲裏面が黒、磁気体が塗られている普通の切符だし
ここで切符の発行年月日を見ると、何と同日で購入していることが分かります。
改札内の券売機で当日買ったのでしょう。
つまり改札内で買われて、改札内で落とされたということになります。
それからモーニングウェイ90号=ロマンスカーMSEタイプにおける2号車の1C座席は、新宿行きだと一番後ろの乗降口のド真ん前(赤丸の場所)。
廊下側の席となっているので、到着したら光速で降りたいという意志を感じます。
背中は壁ですから、誰にも気兼ねすること無くリクライニングができる場所でもある。
いざ到着すると乗降口(赤丸の場所)から近いのはホーム左端・小田原サイドの階段ですが、これは下がって別のホームに行ってしまう階段です。
よって改札(南口改札)に一番近いのは3号車・4号車間にある階段・エスカレーターとなります。
当日に購入した券です、エスカレーター近くの座席はもう取られていたのでしょう。
到着後はそのまま南口改札から出ていったと思われます。
・超朝早くロマンスカーに乗った
・券は当日改札内で買った
・着いたらすぐ降りたい
ここから考えられるのは以下の人物です。
相模原市南区在住。
早めの行動を意識しているが、仕事に忙殺されているサラリーマン。
新宿へちょっとした出張か下見の一日仕事をすることになった。
忙しく事前に予約が出来なかったので普通の電車に乗るつもりでホームに来ると、ロマンスカーが丁度入線していた。
これは僥倖、乗ろうと券売機を見るが、そこは当日購入の悲しみ、残念ながら一番改札に近い場所は取られていた。
せめて乗降口に近く、リクライニングが気兼ねなくできるところをチョイス。
悠々とロマンスカーに乗車した。
ところがいざ新宿駅に到着すると、切符を紛失していることに気付く。
駅員に事情でも説明して料金を払ったのだろうか、切符の主は朝からテンション低めに南口改札から出ていった。
実際は券はバッグの中にあり、探そうと財布なりスマホなり取りだしている内に落としてしまっただけだというのに。
それを筆者が後日、新宿駅にて拾った。
折角410円払ったのにね……朝からお疲れ様です。
乗車券とセットで買っていた場合、駅員さんに「乗車券だけはあるんです!」と説明するシュールな絵面が展開されていたことでしょう。
或いはそれにより駅員さんが酌量して、乗車券だけで改札を通過させた可能性もあります。
何にせよ切符一枚だけで、何処の誰か・どういう時間の使い方をしているかという、邪推にも近い想像ができることがお分かり頂けたと思います。
これ、私はテキトーな想像をしてホホホと笑っているだけですが、もし悪意を持った人が拾っていたら……?
▲たまに作りたくなるパロディ絵。総製作時間1日
そうでなくても失くした時の緊張感と焦燥感は、一瞬血圧を脳溢血が起こるレベルにまで高めるものです(※医学的見識に基づく記述ではありません)。
しっかりとしまい込むか握り締めるか歯で噛み締めておくかしましょう。
●今後見つけたい落ち切符
さて、ご紹介したのはほんの一部ですが、現状のコレクション中にまだ揃っていないものがいます。
▲こういうヤツ!(イラスト by イラストAC)
そうです、鋏痕です!
紹介した切符は一部青いスタンプが押されていましたが、昔は切符使用済みの証としてこういう切れ込みが入っていたのだとか。
私は見たことがありませんが、子供達の憧れだったと聞きます。
それを是非手に入れたいッ。
しかも駅毎に違うらしいので極めてコレクションに向いた存在と言えます。
県境をワープしたヤツとか四年越しに出現した凄まじいヤツもいたのですから、1992年に殆ど廃止されたこやつらもきっと……?
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【結論】
いっそ切符を身体に埋めよう(提案)
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【おまけ:総括短歌】
落とす紙あれば 私が拾い上げ 旅路描いて思いを馳せる
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【Staff】
企画・構成 清水舞鈴
撮影 清水舞鈴
編集 清水舞鈴
制作 清水舞鈴
監督 清水舞鈴
【Special Thanks】
志駕晃氏(↑の原作者)
パロディに使わせて頂いたモデルの皆様
写真AC(モデル写真のDL先)
イラストAC(スマホ画像のDL先)
スペシャルサンクスまできっちりと読む、画面の前の貴方
某日、上野駅にて。
▲謎のメタルな箱を発見
▲き、『きっぷ回収箱』!?
▲投入口が細いッ……!!
見えるのにッ!! 見えるのに取れぬッ……!
自動改札通したらどうせ回収されるのに、何でこんなもんわざわざ設置してるのさ!?
収集欲が昂ぶるだけだろうが!!
くれ! 捨てるくらいなら譲ってくれぇえ!
JRさああああん!!!(届かぬ思い)
The END.