▲分かって欲しい、このあるある
ワタクシ清水舞鈴が公務員になってから早二年が経ちました。
あの時を振り返って気づいたのは……
……いや、堅い挨拶はよそう。
今回は丁寧語(ですます調)を止め、断定調に統一する。
本記事はそういうぶっちゃけスタイルでないとほぼ書けないエグみがある。
これから公務員試験受けようと思っている人、この一個人のぶっちゃけを聞いてぞっとしたなら、今すぐ民間に行ってほしい。
既に公務員になってしまった人は、あーそうだったなあと思って頂ければ幸いである。
(今回も内容がアレなので、各種投稿はしないぞ!)
●あるある5連打
あるある①:今更受験みたいに勉強しないといけない
「公務員にでもなろうかなあ~」などと思う人間をまず叩き落とすのは、ぶっちぎりでこれである。
▲えっ!?(二度見)
コレ全て受験科目である。
5教科7科目とかそんな甘い数じゃない。
強いてこれに準じて言うなら2教科10科目37項。
どれでもいいから公務員とか言ってると、この37項を全部やる羽目になる。
先に言うよ?
ぜってぇ無理。
受験生時代大変お世話になったCEPO☆公務員試験対策室(当時はリニューアル前の『公務員試験対策室』)でも書かれている通り、やらない・やれない項はバッサリと、全部切り捨てていい。
そこに至らず漠然と「なぁんかいっぱいあるからぁ~、とりま簡単そうな奴からやってくぅ~」とか言ってると、五十年やっても間に合わない。
そして切り捨てたとしても、2教科が1教科になることは全く無い。
仮に1教科で済む人がいるとすれば、県庁所在地を除く市役所・町役場・村役場しか受けないという物凄い茨の道を歩みたがるマゾなド変態だけである。
なお私は切り捨てた結果、こうなった。
▲わーい減ったよー(棒)
2教科9科目24項まで減った。
減ったけど労力は全く削れていなかった。
労力を割くつもりの無いものが減っただけなんだから、そりゃそうである。
……ところで、この凄まじい数の科目を見て、貴方はこう思っただろうか。
「こんなに教科があるが、公務で使うのか」
結論から言うよ?
ぜってぇ使わねぇ。
今働いてて、余計にこれを感じる。
例えば市区町村民から「法律で決まってんのか云々かんぬん」等のクレームが来たら、その都度法律書とその判例集を引いていちいち調べている。
誰一人として憲法・民法・刑法なんか覚えていない。その都度調べる。
数的処理に至ってはただの頭の体操でしか無い。
恐らく現職公務員全員に抜き打ちで公務員試験をやらせたら全員筆記試験で落ちると思う。
じゃあこの試験は何なのか?
とどのつまり学校教育と同じ。
数学ⅡBとか、日常生活で使ってるか? そういうことだ。
「100%将来使わない、受験以外には全く使えない超絶無駄なことを唯々諾々とやり続けられるか」
それだけのためにやっている。
これに飽きるようならやめろと。
公務員とは安定を取る代わりに、日々の似たようなクッソ退屈な事務作業を平然とやれるような人だけにやってもらいたいものだと。
刺激や変化が無いとイヤンな人や一時間すら大人しく座ってられない人は断固お断りなのである。
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あるある②:教養科目だけで受験できるところを楽と考える
2教科10科目37項にビビった人間が追い出され、次にフィルタリングされるのは先述したマゾなド変態である。
何故マゾか。簡単だ。
就職というほぼ人生の全てを決める一大イベントの中で、わざわざ公務員試験という狭き門に身を置く上、更にチャンスの分母を下げに行っているから。
どれくらいエグい行いか、現状を表にした。
▲わぁ~(白目)
(データ参照元:平成28年経済センサス活動調査、中小企業の企業数・事業所数、e-Stat)
桁違い。
募集しないところが公・民それぞれにあることを加味しても、全く揺るがぬ民間企業の万の威力。
内容を選びさえしなければ、掃いて捨てる程に民間企業があることがご理解頂けると思う。
そして、これも見て頂きたい。
▲半分以上が募集をしない、だと……!?
公務員試験において募集をしないのが、町役場・村役場である。
いや、語弊か……毎年は募集しない、というのが正しいところ。
もっと言えば「仮に募集したとしても一桁以上の募集はしない」のだ。
公・民どちらも定年退職・依願退職や殉職、自殺及び逃亡で欠員が出た分だけ、補充するために募集をかけるのは当然。
その中で職員数も少なければ退職者もそんなにいないとか、誰も抜けてないし増員する程大変でもないとか、そもそも人件費出せねぇ等という自治体・企業はある。
そうすると募集しないところが出てくる。
しても欠員した一人や二人だけ。
それが『募集しない可能性有』で、公務員試験の場合全自治体の半数以上を占める。
しかもあくまで全自治体を分母にした場合の話であって、現実には全国津々浦々を受けて回りまくる奴はいない。
そして市・町・村は受験者が分散しないように、わざと日付を被らせにくる。
A日程(6月)・B日程(7月)・C日程(9月)の大きく三つに分かれ、しかもこれらの二次試験以降の日程もほぼ間違いなく何かしらと被せている。
「お前ら市役所滑り止めで受けてるんとちゃうよな? どっちかしか取れんかったらウチに来るよな? あぁん?」という脅迫メッセージである。
もうお分かり頂けただろうか。
就活の中で、公務員試験だけ、それも教養科目しか使わない自治体に絞ってしまった上で、受けようと思っていた自治体はほぼほぼ日付が被っていて、丁度被らないところだけが悉く募集しない年だったら、幾つ受けられるだろう。
最悪の場合、1カ所。
そしてこういった自治体は、尋常じゃなく面接に重きを置いている。
四次試験まであるのは当たり前、酷いと年跨ぐところもある。
しかもそこまで付き合ったとしても、落ちる。
潰しの利かない勉強しかしていないので、就職浪人決定である。
新卒至上主義とかいう新卒以外はカス呼ばわりする日本において、「新卒」という身分を捨てるのは一回死ぬに等しい。
民間も受けておけば良かった……
専門科目までやって特別区を受ければ或いは……
いや面接練習をもっとやれば……ああ……
『教養科目しか使わない自治体』しか受けないことのド変態ぶりを理解して頂けたかと思う。
ちなみに、企業のグラフはこうなっている。
▲募集しないところ、見かけは多いけど……
「えぇ~民間も受けられるところ14%しかないじゃ~ん」とか思った貴方は公務員試験の資料解釈で沈むだろうから勉強してきなさい。
この14%は54万社である。
しかも日程等はそれぞれオリジナル、業種・社会への取り組みといった芯さえぶれなければ百数社受けられるので、全く世界が違うのであった。
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あるある③:「受かること」が目的になる
さて勉強科目を減らしたいという目先の欲にくらんだド変態がお亡くなりになったところで、多くの公務員志望者はこう考える。
「教養科目だけでは危険だ。専門科目が必要なところは面接こそ少ない。取り敢えず広く浅くやろう。上から下まで受けるんだ」
器用な人なら先程の表にあったような現実を見据え、
「民間企業も同時進行で受けつつ進めていこう」
と考えて動く。
だが、それぞれ既に落とし穴へ嵌まりに行っている。
私が2017年に受けた実例を出そう。
▲ワシ、9カ所も受けてたのか
はい。
これを見て「日付が被らないから端から受けたんだね」と思ったなら、普通の感覚である。
「一カ所しか受かってないのか! 厳しいな」であれば、それもまた普通の感覚。
「こんなに受けて、何がしたかったの?」と思った貴方、正解だ、今すぐ公務員になってくれ。
そうなのだ。何をやりたくて受けているのか、全く共通点が見えない。
国家公務員と国立国会図書館、国立大学法人等職員も分かる。より大きい枠組みで働きたいのだろうと。
だが特別区とただの市役所と政令指定都市市役所及び国家公務員系を同時に受けるとなると、もう訳が分からない。
お前は何がしたいのだ?
これこそ、多くの公務員試験受験者が陥るであろう最大の罠。
最終目的が「公務員になること」になってしまっている!
前述の、民間も同時進行で受ける人に関しては、確かに安全性は高まるがその分ブレが表れやすくなる。
面接官の前でそれが出ようものなら終わりだ。
「こいつ公務員になって皆のために働きたいんじゃないの? 民間も受けてるってことはどっちかが滑り止め? えっ、そんな程度の気持ちで俺のところを受けてるの?」
面接官は人材を見抜くエキスパートではなく「ちょっと質問に長けたただの人間」である。
心証が悪ければ迷うこと無く切り落とす。
数打ちゃ当たるなどという態度、人間同士においては無礼を通り越して今会話したことすら無かったことにしたいレベルである。
私の知人が就活愚者の最たる例で、数打ちゃ当たる戦法を実施してしまった。
何せ受けたのがこれである。
▲絞れよ
酷い。私と同等かそれ以上に酷い。
家庭教師のトライと博報堂と国境なき医師団に共通点を見出せるかって話だ。
当然、全落ちした。
何でとか言って泣いてたが、むべなるかなである。
そして私が一カ所しか受からなかったのも、今見るとむべなるかなである。
国家公務員系は一次試験、つまり筆記試験で全落ちしている。
特別区用の勉強しかしていなかったので、高難易度・変則的な国家公務員系は記念受験と言って良い。
つまり受かる気が更々無い。最初から受かるはずが絶対に無かったのだ。
特別区を除く地方自治体系、これは全て教養科目しか使っていない(しかも特別区のそれと比べて圧倒的に平易だった)ので悠々と通過したが、面接で無事に沈むことになった。
「受かるのが目的」になっているから、面接で話す内容は全て嘘。
嘘を練習して話すのだ。そりゃあ棒読みになったりつっかえたりする。
面接官はうんざりしただろう。
(※うんざりしながら、それをおくびにも出さずにアドバイスをくれた国分寺市についてはこっそりとお礼参りしている)
結局、現在の区に受かっても、「公務員になってやりたいこと」という芯は固まらなかった。
働いて三年目に突入するが、未だに固まっていない。
よくこんなフワフワで受かったな……慈悲で拾われたのか?
少なくとも、やりたいことや官公庁のジャンルが定まっていれば、かなり練り込んだESや熱を込めた発言ができたはずで、もっと早く合格が出ていたと思う。
特に日野市に至っては、そんな大嘘しか書いてないESだからか秒速で落とされたのが印象的である。
えっ? 川崎市はどうだったか?
聞いちゃうのソレ?
最強に不愉快だったよ。
滅べとすら思った。
自分の嘘を語る以前の問題、はっきり言って何も話していない。
黙して語らない面接官、質問内容も全く無関係で回答を聞きもしない、最短の2分で終了。
左の面接官は寝てたし、右の面接官はずっとスマホ弄ってたぞ。
要は圧迫面接。化石かよ。
ちなみに他の地方自治体系+特別区では全くそんな面接は無かった。
よって散々触れ回ったばかりか、大学の就職支援センターにまで一文をブチ込んだことで後輩に受験を悉くやめさせた上、現在も川崎市を通過する諸々の経路は絶対に利用しないレベルで私怨を抱いているので、将来川崎市に出向するよう言われたら全力で拒む所存である。
仮に川崎市からこの記述に関して文句が出たら、面と向かってやり合う覚悟は出来ているのでいつでも掛かってくれば良い。
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あるある④:観光と言ったら落ちる!
ここまで来られた人は、「ちゃんと勉強したし、公務員になって何をしたいかも決めた、さあ面接だ」と意気込んでいる素晴らしい方である。
しかし、その方の出鼻を挫く質問をさせて頂こう。
公務員になってやりたいこと、まさか観光ではないよね?
「えっ、観光ですけど」
そう思った人はかなり危険である。
凄く、凄く雑に言えば、馬鹿でも思いつく公務員志望理由だ。
それだけ多くの志望者が面接時に語るものであり、公務員における花形であり、面接官が飽き飽きしているものである。
例えば、京都市を志望したとしよう。
面接官(以下、面)「京都市を志望したのは何故ですか」
受験生(以下、生)「観光に携わりたいからです!」
面「具体的には?」
生「今以上に伏見稲荷大社等を外国人に向けて発信したいです!」
面「ではどのように外国人にアプローチしますか?」
生「Youtubeへの参拝動画の投稿、及びFacebookやInstagramにて四季折々の写真の投稿が考えられます!」
馬鹿というか単細胞である。
リンクが貼ってあることから察して頂きたいが、既に大勢が投稿しており、京都市がわざわざやらなくても勝手に人が集まる状況である。
そしてこの受験生には、決定的な視点が欠けている。
面「それによって京都市が得るメリットは何ですか?」
これを聞かれて、「観光客が増加することで、地元飲食店や小売店など観光客を主に対象とする産業がより活性化し、ひいては経済活動、市の税収の増加に繋がります」等と言えたら凄い。
だって大体の人がそれを言えないから。
そう、面接の恐ろしさはここにある。
「公務員になってやりたいこと」と「自治体のメリット」が釣り合わなければ、切られる!
だから上述のアホに対しては、次のようなツッコミがなされて終了だろう。
面「既にそれは公式・個人を問わず行われていますが、それ以外に方法はありますか?」
面「観光以外の部署に配属になった場合はどうしますか?」
面「有名処ではない『隠れ観光スポット』があれば教えて下さい」
面「観光に携わりたいのであれば京都市でなくとも他自治体・民間旅行会社などの選択肢もありますが、何故京都市を選んだのですか?」
自分で書いていてアレだが、こんなの聞かれたら嫌だなあ……。
嫌と感じるのは間違いなく「そんなところまで考えていない、己がやりたいってだけの話だから」である。
ちなみに私の考えた回答は上から順に、
「京都市をモデルにした小説や漫画をプロアマ問わず広く募集する。それを元に特設サイトを設け、各種『聖地』には作品の紹介を載せて特設サイトへの誘導を行う。その上で他の作品や『聖地』に興味を持ってもらう」
「一向に構わない。例えば新しい制度を考えて広報するなどといった、京都市を内外にアピールする機会はどの部署にもあるのではないかと考えているから」
「漢字ミュージアム」
「理由は二つある。一つ目は多数の文化遺産を抱えること。私自身、寺社仏閣巡りが好きで、長期の休みになると必ず方々に旅行に行くのだが、その上で京都程歴史深く保存活動もしっかりと行っている場所は無かった。その姿勢に惚れ込んだのである。
もう一つの理由は、景観論争が起きる程に街並みに誇りを持つその京都愛に惹かれたこと。寺社仏閣巡りの話を先程したが、では景観を破壊しない程度に各場所を巡り易くするにはどうすればよいかと考えている。そこでこの度街作りに携わりたいと志望したのである」
ここまでアドリブ効かせて言えたら、それは最早新人では無いだろうし、あんまり立て板に水で蕩々と語ってしまったら「暗記してきた?」と悪く思われてしまうかも知れないが。
とはいえ回答できなければ、「コイツ何も考えてないやん」と切り捨てられてどのみち終了である。
大学卒業見込みの初々しい方なら多少なりともビジョンが無くても大目に見て貰えるが、受験可能年齢上限ギリギリの三十代の大人な方や経験者採用の受験生が「観光やりたい! やりたいっつったらやりたい!」じゃ駄目だろう。
面接とはかくも恐ろしく、その中で観光は今サラッと書いただけでも非常に突っ込まれやすいテーマなので、極論を言えば「観光と言ったら落ちる」のであった。
▲おまけ:観光と言ったら落ちる自治体例
(観光地を抱えていて、
既に観光政策が出尽くしている可能性が高い)
勿論これは民間も同じで、自分のやりたいことと、雇用主が採用することにより期待できる効果が見合わなければ落とされることには変わりない。
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あるある⑤:合格したけど全然希望のところじゃない
あるある④まで全てクリアしたのに、恨み節を漏らしている人がいる。
これこそ、公務員試験あるある最後の悪魔。
なまじ併願していると必ず陥る現象である。
▲例
それぞれかなりの悲愴感を秘めている。
県に携わりたかったのに、一自治体に甘んじる羽目に。
千代田区でバリバリやりたかったのに、面接に呼ばれすらしなかった。
東京のオシャンティーな街で暮らしたかったのに、受かったのが地元だけ。
合格した自治体は全然悪くない(しかも全て観光名所を抱える華々しい自治体)のに、「何で私がこんなところに……」と思っている人間もいることだろう。
それは民間だって同じじゃないの? と思うかもしれないが、段違いである。
民間は幾らでも受け直せる。
勿論「若い男性活躍中」だの「経験豊富な女性多し」だの募集内容に書いて遠回しに年齢や性別の制限を掛けてくるところや、Webサイトの採用実績にて六帝大+難関私立大を表示して学歴フィルターを見せつけてくるところも多いだろう。
だが法律上は誰にでも開かれている。
年齢・性別・学歴で勝手に腐すようなことが無ければ万に一つ受かるかも知れない。
(ちなみに私的体験談で申し訳ないが、日東駒専だったにも関わらず、ある一部上場企業(採用実績:六帝大出身者のみ)への物凄い愛とそれ故見えてくる改善点を面接でズバズバ言いまくり受かった者がいる)
だが公務員はそうじゃない。
民間より更に低い年齢上限、長たらしい試験、尋常じゃない間口の狭さ。
それはあるある②で述べた通りである。
そして特別区に至っては自治体が受験生を面接に呼ぶのであって、受験生は受ける自治体を全く選べないのだ。
例えばあるある③の私の実例に「葛飾区」とあるが、これは全く考えもしなかった自治体である。
どう頑張っても実家から通えない(金銭的事情で就職と同時に独立は不可能だった)ため辞退している。
というのも私の希望は千代田区・新宿区・中野区で、全て中央線・総武線の沿線。
実家からの通いやすさだけで考えた結果なのだ。
(合格した自治体もねえ……通勤に結構時間掛かるのよね……)
しかし実際にはこの中では千代田区にしか呼ばれておらず、そして受からなかった。
仮にもう一度公務員試験を受け直したとしても、呼ばれる保証は全く無い。
だから実際に公務員になった人の中には、「あそこに行きたかったあそこに行きたかったあそこに行きたかったあそこに行きたかった」と延々呪詛の様に呟き続ける輩もいる。
或いは希望の自治体に受かっても、やりたい部署じゃなかったという贅沢な悩みを吐く奴もいるだろう。
はあ……。
……そんなあるあるに陥った全員に、全然希望の自治体でもなくやりたい部署でも何でもないところに配属されている一公務員の私から言わせて頂く。
「お前ら受かってんだろうが!」
そんなことをぶつくさ言ってる君らは、周りがどんな目で君らを見ているか考えたことがあるか?
私はこういう呪詛を言えなかった。
目の前に全く同じ試験を全く同じ年に受けて全落ちした友人がいたからだ。
加えて、自分の合格が出ない間に次々受かっていく予備校仲間が「でもさ~全然行こうと思ってないんだよねぇ~就職浪人しよっかなぁ~」等とぬかして殴り倒したい程腹が立ったからだ。
合格不合格は確かに己だけの問題だ。
だがそれを聞いてめちゃめちゃ不愉快に思う人間がいることを考えろ。
全落ちした受験生やまだ合格の出ていない受験生だけじゃない。
大半の民間労働者や君らに合格を出した自治体の人間、そもそも病気その他で働けない人生どん詰まりの方が君らを見ている。
君ら以外の全員が君らの発言にムカついているんだよ戯け!!
ふぅ~……。
……じゃあお前はどうなのかって?
頭のおかしい客が暴れるし警察沙汰はバンバン起きるし覚えることは多いわ面倒くせえことばっかりだわ本当に嫌な部署だ。
だがそれを部署の人間全員が分かっているから、すぐ助け合えるし休みは取り易いし、謎の専門書が何冊もあって非常に面白いぞ。
そして2020年6月現在で公開されているブログのネタの半分は、他ならぬこの部署で得たものだ。
だから、今後も「クソい部署だぁ~」だの「だりぃ~」だの言うだろうが、これだけははっきり言わせて頂く。
ここに来て良かったぜ!!
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【結論】
以上を覚悟の上で受けたまえ!
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【おまけ:総括短歌】
公務員 なって貴方は何したい? 決まってないならやめときなさい
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【Staff】
企画・構成 清水舞鈴
撮影 清水舞鈴
編集 清水舞鈴
制作 清水舞鈴
監督 清水舞鈴
【Special Thanks】
スペシャルサンクスまできっちりと読む、画面の前の貴方
さて、断定口調でこれだけ他人の批判を顧みずに、しかも私は人事の人間でもないのに主観でバスバス書いたわけで、結構ビビられた方も多いと思う。
だから最後に、参考までに私が合格した実際の面接を書かせて頂く。
(二年前のことなので言葉や時間はややうろ覚えだがご理解頂きたい)
面接官・太字:質問文 私・太字:回答
私「失礼致します(はぁ~!? 面接官五人もおるんやけどォ!?)」
面1「どうも! 今日は宜しくお願い致します」
私「宜しくお願い致します。清水と申します(ええぇ、奥に雑務やってる人が一人いるんだけど誰? 書記か何か?)」
面2「ではでは、どうぞ」
私「失礼致します」
面3「ではね、早速で悪いんですが、今日は何処からいらっしゃったんですか?」
私「はい、○○市から、電車を乗り継いで来ました」
面1「○○市!? 遠かったでしょう?」
私「そうですねえ~(笑)、一時間弱は掛かりました」
面4「どうやって来たんですか? 中央線?」
私「最寄りが○○駅で、そこからまず××線で▲駅に行きます。そこで中央線に乗り換えて、☆☆☆駅まで数十分。また乗り換えて、今度は●●線でここの最寄りまで乗ってきまして、後は徒歩です」
面4「大変ですね……どうですか、通えますか?」
私「1時間なら通勤圏内です! 大学もそのくらい掛かりましたから」
面5「それは良かった~」
面3「1時間超えるとね、結構キツいですよね(笑)」
私「キツいですね~」
面2「もしかして、葛飾区を辞退したのは遠いからですか?」
私「その通りです。調べたら2時間って出てしまったので、辞退しました。(ゲッ、そうか、知られてるのか)」
面5「遠いからってだけで辞退したの? 近いところに引っ越そうとは思わなかった?」
私「いいえ、お金も掛かりますし、何より就職に伴って新しい環境に行くことになりますから、まず職場や仕事に慣れてから考えようと思いました」
面5「急に環境が変わるとね、苦しいもんね」
私「そうなんです。それで例えば気分が落ち込んだり集中できなくなったりしたら、結局職場の迷惑になりますから」
面1「そうですね。入りたてはやはり緊張しますからね」
面3「でもそういう意味では千代田区、落ちたのは非常に残念だったのでは? 結構ウチよりは近いでしょう?」
私「いや、それが今となってはそう思わないんです(うっひょ~、千代田区行って落ちたのも知られとるぅ~)」
面3「どうしてですか? 第一志望に入れてましたよね?」
私「上手く説明できないというか、変なことを言うようで申し訳ないんですけれども、千代田区役所最寄りの九段下駅の改札を出た瞬間に、『あ、自分、この街に呼ばれてないな』と思ったんですよ」
面1「え?(笑) 『呼ばれてない』?(笑)」
私「はい(笑)」
面5「何々? どういうこと(笑)」
私「こう~……何て言ったら良いんですかね、出た瞬間に緊張したというか、この駅から千代田区役所まで歩く自分が想像できないというか、とにかく『自分がいていい』感じが全くしなかったんです。家から面接会場までずーっと違和感がある。すみません、変な説明になっていますが」
面2「あ~でも何となく分かりますよ。なるほど、『呼ばれてない』感じ(笑)」
面4「するとウチの区は如何ですか、呼ばれてますか(笑)」
私「呼ばれてると思います」
面4「駅から降りてここに来るまで緊張しなかったんですね?」
私「しませんでした(笑)」
面5「しないんだ(笑) 凄いね」
面3「でもウチの区は第三希望にも入ってなかったんですよね? それでも受けに来てくれたのはどうしてですか?」
私「実は大学時代に友人とこの区の観光地まで遊びに来たことが何度かあるのですが、その時に思ったんです。『外国人がこんなに沢山いるのに、災害用の表示で外国人向けの分かりやすいものが無いなあ』って」
面3「ほお」
私「いや、勿論探せばあると思うんです。私が見つけられなかっただけで。でも遊びに来て、土地勘も無い状態で、パッと見た時にそんな表示が無い。そういう印象を抱いたので、今回呼んで頂いた時に、『この区に来たら外国人含む情報弱者向けに災害対策を考えたい』と思いました」
面2「なるほど……」
面1「ウチはそうですね、水害や震災だけじゃなく火事も起きやすいですから、災害対策は本当にいつでも取り組まないといけないんですよ。他の区に比べるとどうしてもね……」
(面接官同士で暫し軽い話し合い)
面1「いやはや、面白い話をさせて頂きました。お疲れ様でした」
私「ありがとうございます」
面1「ではね、面接はこれで終わりです。遠いですから、気をつけて帰って下さいね」
私「ありがとうございます。それでは失礼致します」
(部屋から出るところで振り向き)
私「本日はありがとうございました」
面5「はい、お疲れ様でした」
私「失礼致します」
面5「ええ、気をつけてね」
以上、時間にして20分程度。
受験した全自治体の中で、「志望動機は?」ではなく「受けに来てくれたのはどうして?」という聞き方をしてきたのはここだけだった。
恐らく「志望動機は?」と言われていたら「いや、おたくが呼んだから……」と反発してしまいそうだし、回答も「私の志望動機は……」で始まる棒読みになったはずだ。
言葉が変わるとこんなにも話し易いものなのか、と感動した。
「清水さん、合格です。ウチに来てくれますか?」という伝説の合格電話が掛かってきたのは、それから数日経った、合否通知の実に二週間も前のことである。
The END.